混和材を用いたPC部材

フライアッシュを使用したプレストレストコンクリート橋(PC橋)

適用背景

コンクリート構造物における大きな劣化要因としては塩害があり、その抑制対策として混和剤の使用が望まれておりました。特に北陸地方においては塩害に加え、ASR※によるひび割れ、剥落、剥離等の影響が課題となっており、混和剤としてフライアッシュ(FA)の適用が研究されてきました。当社においては長寿命化の観点から、元来強度の高いプレストレストコンクリート(PC)技術に更なる耐久性の向上を目指し、FA+PCの融合を実現することができました。

※ASRとは・・・アルカリシリカ反応と呼ばれるもので、コンクリート中の骨材(砂、砕石等)がセメントのアルカリ分と過剰に反応し、コンクリートが膨張する現象。

橋梁適用事例

維持管路橋(橋長35.1m)(北陸電力㈱富山新港火力発電所内)
プレテンション方式プレキャストPC床版(鋼橋床版部)

高炉スラグコンクリートのプレテンションPC部材への適用

プレテンションPC部材の更なる高耐久化を実現

一般に、高炉スラグ微粉末をポルトランドセメントの一部に置き換えることによって、塩化物イオンの固定化能力によって高い防食性をもつことから、塩化物イオン浸透抵抗性など耐久性の向上に寄与しています。 高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートをプレテンションPC部材に適用するために、フレッシュ性状、強度特性、耐荷力について実験で確認しました。

高炉スラグ微粉末の品質

フレッシュ性状と強度特性

プレテンション構造への適用性

・コンクリート供試体側面のPC鋼材位置にひずみゲージを貼り付けて、計測したコンクリートひずみを用いて定着長を算出しました。

・定着長の測定結果から、導入直後で571mm(38φ)、48時間後で606mm(40φ)となりました。道路橋示方書で想定している定着長988mm(65φ)以下となることを確認しました。

耐荷力

・PC供試体(250×500×4,000mm)を用いて曲げ載荷実験を行いました。載荷ステップは、計算ひび割れ荷重まで5回の繰り返し載荷を行った後、破壊に至るまで載荷しました。

・曲げ載荷実験の結果から、ひび割れ発生荷重の実験値は計算値を12%程度、破壊荷重の実験値は計算値を18%程度上回り、十分な耐荷力を有することを確認しました。

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