広帯域超音波法(WUT)を用いた非破壊試験(WUT:Wide-range Ultrasonic Testing) ~WUTによるPCグラウト充填調査~ |
PCグラウトの充填状況を非破壊調査で把握
広帯域超音波法(WUT)によるグラウト充填調査は、シース直上のコンクリート面に一対の探触子を配置し、広帯域超音波を受発信して波形を収録します。
得られた波形から、シース反射波の周波数特性を分析することでグラウトの充填状況を判定しています。
① 高精度な判定
WUTによるグラウト充填調査では、1調査箇所あたり4点で計測(多点計測)を行います。収録される波形には、シースからの反射波のほかに、部材厚反射波や鉄筋などからの反射波である妨害波が含まれます。多点計測した波形を加算することで妨害波の影響を低減させるとともに、シースからの反射波を増幅させ探査精度の向上を図ります。
② 広い適用範囲
WUTによるグラウト充填調査では、部材厚に関係なく最前列のシースのかぶりが250mm以下、鉄筋間125mm以上、PC鋼材配置間隔110mm以上であれば、精度よく探査が可能です。
③ 作業効率の向上
コンパクトな調査機器によって作業負荷を軽減し、1日あたり20~25箇所程度の探査が可能です。
④ 安全性の確保
人体に無害な超音波の使用によって、安全な調査が可能となります。
⑤ コストの縮減
WUTによるグラウト充填調査では、探査に要する時間が短いことや、作業足場の設置面積の縮減などによって、工程の短縮や作業設備の縮小化を図ることが可能となり、コスト縮減につながります。
① PC鋼材設計位置の罫書き
② 電磁波レーダによるシース鉄筋の位置出し
③ 超音波発生装置によるグラウト充填探査
「グラウト充填不足」の場合は、「グラウト充填」の場合よりも大きい周波数でピークが発生しやすい傾向にあります。
管 理 者 | 国土交通省 | 高速道路会社 | 鉄道会社 | 地方自治体 |
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調査橋梁数 | 1 | 80 | 5 | 6 |
「既設ポストテンション橋のPC鋼材調査および補修・補強指針」(プレストレストコンクリート工学会:平成28年9月発刊)にて、グラウト充填調査手法の一つとして記載されています。
道路構造物ジャーナルNET(高速道路総合技術研究所橋梁研究室長のインタビュー「NEXCO各種要領の平成27年度改訂詳細」)で、平成27年度から正式にPC橋の非破壊調査手法として広帯域超音波法を採用されたことが紹介されました。