このたび、当社社員の天谷公彦、角田貴也が執筆・発表した論文が、「令和4年度土木学会論文賞」を受賞しました。
受賞論文 | プレテンション部材から延びたPC鋼材を用いたプレストレス導入技術に関する研究 |
著 者 | 天谷 公彦,角田貴也,高谷哲(京都大学)、山本貴士(京都大学) |
論文集 | 土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol.78,No.1,pp.72-89,2022. |
■本論文の概要と土木学会の講評■
本論文は、プレテンション部材から延ばしたPC鋼材を再度緊張して接続部材にポストテンション工法でプレストレスを導入して一体化を図るハイブリッドPC構造(HPC構造)の開発に関する検討成果を取り纏めたものとなります。HPC構造では、高いプレストレス力を導入できる1S15.7高強度PC鋼より線(UHSP)と高強度コンクリートの使用を前提としていますが、これらの材料をプレテンション構造に適用した既往の知見はなく、HPC構造の実現にはプレストレス導入時と再緊張時のPC鋼より線の付着特性の評価が必要でした。
本論文では、実験的な検討により、UHSPと設計基準強度70N/mm2以上の高強度コンクリートを組み合わせることで、プレストレス導入時および再緊張時に求められる付着強度が確保でき、HPC構造が実現できることを示しました。さらに、実験結果に基づいて定式化された付着応力-すべり量関係を非線形FEM解析に導入し、プレストレス導入時と再緊張時のPC鋼より線の挙動を適切に評価可能な解析手法を実現しました。
以上のように、本論文は、HPC構造の実現性に加え、PC鋼より線の付着特性を考慮した新しいモデルに対する成果を示しており、PC構造の解析手法の高度化への貢献に関しても期待できることから、論文賞に相応しいと認められました。